中年リーマン、へじくま日々を生きる

しがない中年サラリーマンが好きなことを書いてます

息子と空を見た

 雪が降るところに住んでいるので

休みの日になるたび、息子にせがまれ

近所のそり遊びができる公園に行く。

 

 昨年雪の時期連れていったら、そりと公園が楽しすぎて

帰りたくないあまりに

そりにゲロをぶちまけるという出来事があり

なんとなく僕のトラウマになっていたのだが

まもなく3歳ともなると、五体投地で帰らないという気迫を

示すようになり、吐かれるということはないが

より面倒なことにはなっている。

 

 まあ、それだけ楽しんでくれているのであれば

連れていく甲斐もある。

 

 いつもはそれなりに混んでいる公園が

昨日は誰もいなくて貸し切り状態。

他の子がいると年上でも関係なく一緒に遊びましょーと突撃するし

混んでいると僕も周りに気を使ってしまうので

ラッキーだった。

 

 今年はそりに一人で乗れて滑れるようになって

一人そりを楽しむ息子。

 

 と言っても、そりから降りるのと

坂の上にそりを持っていくのは頑なにサボるので

坂の下までダッシュし息子を下ろし、坂の上までそりを運ぶのは僕の仕事。

 

 坂をそりを引いて登り、そりを追いかけて坂の下までダッシュするという

行為を延々と繰り返すという、地獄の罰にありそうなループをこなしていると

前世で何か悪いことしたかな、という思いにかられる。

 

 そんな息子もちょっとそり遊びに変化を加えたくなったのか

僕と一緒に滑ると言い出した。

1年ぶり。一人で乗れない時以来だな。

 

で、息子を僕の足の間に乗せて滑る。

大人の体重がかかると距離が伸びてちょっと楽しいらしい。

何度か繰り返していると

滑り終わった後、息子がおもむろに僕の上に仰向けになって

ぼーっと空を見ている。つられて僕も見る。

 

青空だった。

 

「何か見える?」

「あのくもまるい」

「丸いねえ」

「あんぱんまんみたい」

アンパンマンみたいだね」

「あんぱんまんみたいかや(ら)、ぎゅーっとなってどーなつになるの」

「息子(名前)は食べ物が好きだねえ」

 

いつも通り食べ物の話につなげる息子。

 

「あのくも、とうしゃんと、かあしゃんと、むすこ(名前)のくも」

ぼやっとした、そう言われると大きい2つと小さい1つがくっついた感じの雲。

「仲良しだね」

「おんなじだね(自分たちと、ってことかな?)」

「同じかあ」

「おうちにかえるのかな」

「帰るのかもね、雲さんにバイバイするか」

「ばいばーい」

 

なんだかいいな、と思った。

父子二人そりの上で仰向けで空を見る。

自分がこんなに無心に空を見てたのはいつまでだったかな。

 

同時に、こうやって一緒に空を見るのはいつまでなんだろうな、ということと

いつまでも空を、上を向くことを忘れない人間であってほしいなあ、と思いながら

僕もぼんやり空を見ていた。

 

…昼ごはんの時間が近かったんだ。

「さてお家でご飯出来てるって。帰ろう」

「やだ、かえらない。そい(そり)する」

「帰ろう」

「やだ」五体投地

「歩こう」

「あゆかない(あるかない)」五体投地

 

そりに乗せて帰るにも今年は記録的に雪が少なく

歩道がむき出しなのだ。

 

結果

そりと息子を抱えながら歩く。

いつになったら家につくんだろうな

と息を切らせながら

地面は凍っているので下向きでひたすら歩く中年でした。