どぜうが食べたい
勝手に食べに行けよ、という話なのだが。
僕は浅草の駒形どぜうが好きだ。料理も店の雰囲気も。
東京に出張があるたびに、友人と行く。
もう出張もほとんどなくなったので
3年は食べてないだろうか。
また行きたいなあ。食べたいなあ。
過去を思い返しながら行ったつもりになる。
以下回想というか妄想。
商家造りの店ののれんをくぐる。
1階がお座敷席、2階がテーブル席となっている。
膝が悪いなど事情がなければお座敷席で風情を楽しむのがいい。
床に敷かれた板を机とし、友人と向かい合い胡坐をかく。
ビールと軽い酒肴をお願いして、
ビールで軽く喉を潤したら、僕は枡酒を頼むんだ。
原酒だからアルコールは強い。あらいか何かつまみながらちびちびと。
そうこうしている間に丸鍋がやってくる。
ぎっちり並べられたどぜう達にネギをたっぷりのせて
ネギに火が通るまで煮るんだ。
ネギがやわらかくなってきたら山椒をこれでもか、とかけて
いただく。
やわらかいどぜうのあっさりとした白身の旨味と
出汁を吸ってやわらかくなったネギの甘味と
山椒のぴりっとした辛味とが
混然一体となって、うっとりしてしまう。
そこでまた酒なりビールなりを一口。もう最高、となる。
2、3人で食べるので鍋はぺろりとなくなる。
もう一回同じのを頼むもよし。
ちょっと山椒から離れてマイルドに行きたいときは
柳川を食べよう。
先ほどとは違い、ちょっと甘めの味が舌に優しい。
お酒おかわり。
強めの原酒を2、3杯飲んで酔いも回ってお腹も満足。
身も心も満たされてふらふらと浅草の街を歩くのだ。
…だからどじょうを食べに行こうよ、と
妻に上記のプレゼンをしたのだが
一人でお行き、とのことだった。
妻はあまりどじょうが好きではないのだ。
ああ、また出張ないかなー